逃げて逃げて逃げまくる方法は、おれも昔、本で読んだことがある。
庄司薫の『赤頭巾ちゃん気をつけて』シリーズだったはずだ。
たしか、逃げきれなくなった時のために戦う力を身に付けて置かなければならないという下りだったと思う。

庄司薫は、小説の中で好意を寄せていると書いたピアニストの中村紘子と本当に結婚することになる。対談したら気に入られ、多分、逃げきれなくなったのだろう。
自身は、小説を書くのを辞め、妻のアシストをしながら、不動産投資でバブルに乗って資産を増やしていった。
しかも、バブル崩壊前に逃げて逃げて逃げ切って、損を出さなかった稀代の投資家だったらしい。

そういう生き方は、実は古代からあったらしい。
集団での狩りには加わらず、自分だけ知る木の実や魚取りの穴場を糧にこっそり暮らす。
そういう生き方ができるのは、人より嗅覚が鋭い人間だけなのだ。