>>306
中略書くからちゃんとブログに載せろよ


「もしよかったらウチに来ませんか?」
突然の少女の申し出に僕は戸惑った。そしてそれは表情に出ていたのだろう
「あっ・・・いえ。ウチ旅館なんです」
焦ったように少女は言葉を付け加えた。
僕は少女の申し出の理由がわかり安心した。反面、少し残念でもあった
とりあえず僕は少女について行く事にした
どうせ行くアテも無い。かと言って家に帰る勇気も無い
手持ちはそこそこあるのでここで何泊かするのも悪くは無いだろう。
海から少し上った所に少女の家があった
あまり大きくは無いが、なるほど旅館だ。
「伝統ある旅館って言われてますけど。ただ古いだけなんですよ」
テレたように笑う少女の笑顔はどこかかわいらしく、そして妖艶であった
それから一週間。僕はその旅館で過ごした
少女は足しげく僕の部屋に通い、たわいも無い話をした
いつしか僕も彼女を待つようになっていた
幸せな時間だった。彼女が居れば、全てを忘れられえた
でも、このままじゃいけない
その日、彼女はいつものように部屋にやってきた
が、急に笑顔が曇る。僕の表情がいつもと違ったからだろう
僕は帰る事を彼女に告げた
全ての音が消えたような気がした
無言の時間。刹那のような那由多のような不確かな時間
気がつくと彼女は僕の胸で泣いていた。その姿は幼い子どものようだった
外から雨の音がする
彼女は一通り泣きつくすと掠れた声で話しはじめた
自分が不登校児だと云う事。旅館の経営が良くない事。
そのために両親のケンカが耐えない事
僕は何も答えなかった。ただ頷くだけ、それが僕の出来る精一杯の誠意。
「聞いてくれてありがとう。これで最後だから話したかったの」
彼女はとても弱弱しく、微笑んだ
そして、僕は彼女を押し倒した・・・
「暑い」
気か付くと外は眩しいくらいの晴天
横で寝ている彼女も汗をかいてシーツがびっしょりだ
僕は自販機でアクエリアスを買い寝ている彼女の枕元に置いた
もう行こう、彼女が起きる前に。決心が鈍ってしまいそうだから
「必ず戻ってくるから。そしてキミを助けるから」
そう言って僕は部屋を出た
発車待ちの電車の中で僕は独りはにかんだ。
僕がここに戻るころには彼女には大切な人が居るかもしれない
僕が居なくたって彼女も旅館も大丈夫かもしれない
一方的な約束。誰も知らない僕だけの約束
でも決めたんだ。後悔なんてあるわけない
ジリリリリリリリー
発車のベルが鳴り電車が動き始める
来る前と同じはずの風景が今は違ってみえる
「まってー」
彼女の声が聞こえた気がした。いや、聞こえた
僕は窓を開け外に身を乗り出す
そこには息を切らしながら走る彼女が居た
白いワンピース姿に麦わら帽子。片方だけのビーチサンダル
「待ってるから!約束、忘れないから!」