卒論の進行も就職活動も上手くいかず、
半ば逃げ出すように列車に飛び乗った夏は、もう三年前のことになる。
瀬戸内のその小さな駅に降りたのは、特に理由などなかった。
漂うように流れ着いた駅名すら見ていなかった街で、特にすることとてなく、
小さな島々をちりばめたような海をただぼんやり眺めていた僕に
その少女が声をかけてきたのは、よほど珍妙な表情を浮かべていたのだろうか。

(中略)

小さくなっていく少女が振る手に、アクエリアスの缶が光っていた。



真ん中あたり、誰か考えてくれw