開始日時:大正九年六月十三日
掲載:東京朝日新聞 解説 木村義雄 八段
先手:村越為吉 六段
後手:花田長太郎 六段
▲76歩
*当時花田氏が破竹の勢いで二十二勝した、二十三人目であります。
△34歩 ▲26歩 △84歩 ▲25歩 △85歩 ▲78金 △32金 ▲24歩
△同歩 ▲同飛 △86歩
*この一戦の影響によって後手は八六歩で堅く二三歩と受けるべきであるとの意見が、相当強い根拠を持ってきました。
▲同歩 △同飛 ▲34飛 △88角成▲同銀 △28歩
*花田氏の研究。同氏も断然所信を遂行したのです。
▲同銀
*村越氏が三十分も考えられた手
△45角
*私は先手が後手の術中に陥ったなと思いました。
▲87歩 △76飛 ▲77銀 △34角 ▲76銀 △88歩 ▲77桂 △89歩成
▲58玉
*実に含みの広い好手で敬服致しました。自玉の安全を計りつつ攻めを含んだ攻防兼備の手筋であります
△99と
*相当長案した順で、どうも他に適当な手段がなかったと、局後の感想に述べておられた。
▲84飛 △98飛 ▲68金 △44香 ▲81飛成△25角 ▲59桂 △89と
*関根先生が終了後、四七香成、同桂、同角成、同玉、六八竜と二八の銀に当てて決戦する所であろうと講評されました。
▲66歩 △79と ▲56角 △54歩 ▲67銀
*局面優勢と見た確な応接で、勝に行きたい焦り気の出る所をジット辛抱して居られるのは、経験の賜であるとひそかに思った。
△74歩 ▲91龍 △75歩 ▲85桂 △76歩 ▲78歩
*さすがに老巧なもので、新進気鋭の花田氏も如何とも策の施し様がなく、苦戦を承知しておりながら、非常に窮したと後で語っていた。
△77歩成▲同歩 △76歩 ▲同歩 △47香成▲同桂 △77歩 ▲36香
△同角 ▲同歩 △55香 ▲同桂 △同歩 ▲54香 △42玉 ▲71龍
△56歩 ▲61龍 △69角 ▲59玉 △33玉 ▲15角 △24桂 ▲35香
△22玉 ▲23歩 △12玉 ▲32香成
*実は花田氏はもっと前から投了する気持ちでいましたが、所信の読者に明瞭である様にと併せて、寄せの手筋を考慮せられて最後まで示して下さったのです。
まで77手で先手の勝ち