女の子は店長室でもずっと私を睨んでいましたが、女の子の鞄に描かれたキャラクターの話をしたりして何とか打ち解けると、
女の子が急に「自分が見張りを失敗しちゃったからおかあさんが悪いおじさんに捕まっちゃった」というような事を言って泣き出しました。

優しく接した事で私はどうやら敵ではないと思ったらしく、「おかあさんを助けるにはどうしたらいいだろう」と泣きながら頼ってきて、
凄く複雑な気分になりながらも途切れ途切れに女の子から聞き出すと、どうやら他にも色んな店で万引きの見張りをやらされていたらしく、
女の子は万引きの事を母親から「○○を悪い人達から助け出しているんだ」と教えられていたらしいのです。
(○○は商品に描いてあるキャラクターの名前だったり、日用品の名前だったり)

うちの店で万引きした商品はプリ○ュアのイラストが入ったコップで、「おかあさんはプリ○ュアのコップを悪い人達から助けようとして捕まった」と思い込んでいるようでした。


恥ずかしながらどう対応していいか解らず、女の子を何とか宥めているうちに店長が呼んだK冊の方がきたので、女の子を連れていく時に「こんな事を話していた」と説明したら、年輩のお回りさんは頭を抱えて項垂れていました。


それから先はK冊の方にお任せしたので解りませんが、店長は純粋な子供の前で盗みをはたらく後ろめたさを「○○を助け出す」と言うことで誤魔化して正当化して見せてたんだろうな、と…
悪いことだと解っているからこそそういう教え方をして手伝わせていたのかと思うとやりきれません。


女の子がこれから真っ当に育ってくれるのを祈りたいです。本当に良い子だったんだ…鞄からおやつや飴をいっぱい出して、おじさんたちにあげておかあさんを離してもらうって言ってたのが忘れられません。