>>486
「クジラを食べる文化」というものを、2つにわけて考えるべきだと思います。

ひとつは江戸期にあった地域的な文化。もうひとつは、主として第二次世界大戦後
にはじまった代替獣肉としての文化です。
前者については文化として尊重されるだけの重みがあると思いますが、後者につい
てはちょっとどうかな、と思います。まあ、ハンバーガーもカレーも食文化だ、とは言
えるわけですが、重みとしてはせいぜいその程度のものでしょう。
そして、日本における鯨食文化は、この2つがかなりとっちらかっています。
日本国内で一般的に鯨肉が流通するようになったのは第二次世界大戦後のことで
すし、それは鯨油目的捕鯨の副産物としての捕鯨によるものでした。
日本の第二次世界大戦後の捕鯨は、外貨獲得などの目的もあってのきわめて激し
いもので、決して「クジラを激減させたのは白人だろ」と言える立場ではありません。
白人と並んで、日本もまた、クジラを激減させたメンバーの一員だったんですね。

もし日本の捕鯨が、江戸時代に行われていたものと同種・同規模のものにとどまっ
ていれば、ここまで叩かれることもなかったでしょう。そうではなく、「クジラを激減さ
せた白人」と並んで捕鯨をやってきた上にいまだに撤退する気配がない、というの
が不安を呼んでいるのだと思います。
確かに、日本には捕鯨の伝統があります。しかし現在の日本の捕鯨は、決して江戸
時代から続く捕鯨の伝統に連なるものではないように思います。伝統を主張するの
なら、伝統の範囲に回帰する必要があるのじゃないでしょうか。