前回のこの欄では、「核のない未来を! 世界核被害者フォーラム」の要旨を掲載する形で、
人類は核(原子力)にどう向き合うべきかという問題に対して、国内外の市民団体がまとめた
提言(広島宣言)を紹介しました。

核兵器の廃絶で一致したのは当然として、原子力発電からの撤退に力点を置いたのが大きな特徴です。

 その理由は、日本人が福島第1原発事故で体験したように、事故で住民が、
事故処理で労働者が甚大な被害を受けるからです。

それだけでなく、ウランの採掘、精錬、核廃棄物の投棄などによる被害が世界各地で生じているとも指摘しています。

 この欄でも原発の問題は何度か取り上げてきました。
福島第1原発の後始末にどれほどの巨費を必要とするのかを考えれば、その論理自体が疑わしい、
“経済性”を旗印にして、原発の再稼働が始まっています。
なし崩しの容認に流れてはフクシマを繰り返す恐れがあります。

広島宣言は、科学技術の現状を踏まえて「放射能災害は防げない」と断じ、
さらに核の軍事利用と産業利用が根底でつながっているとして原子力発電に反対しています。
あらためて考えてみるべきことだと思います。

http://mainichi.jp/articles/20151207/ddl/k34/070/365000c