<指定廃棄物>最終処分場候補に栃木・塩谷町 環境省方針

毎日新聞 7月30日(水)11時32分配信

東京電力福島第1原発事故で生じた放射性物質を含む「指定廃棄物」の最終処分場建設問題で、環境省は、栃木県内の候補地を同県塩谷(しおや)町の国有地とする方針を決めた。
井上信治副環境相が30日午前、同町役場を訪れ、見形(みかた)和久町長に詳細調査の受け入れなどを求めた。
見形町長は副環境相との会談後「建設には反対だ」と述べる一方、同省との協議に応じる姿勢を示した。

環境省によると、建設候補地は塩谷町内の国有地約3ヘクタール。選定に当たっては、同省主催の県内市町長会議で、
集落との距離
▽水源との距離
▽植生自然度
▽指定廃棄物の保管量
−−の4項目を数値化して評価することで合意していた。
井上副環境相は見形町長との会談で「塩谷町が最高得点だった」と説明した。
会談には同県の福田富一知事も同席した。

見形町長は井上副環境相に対し「残念だ。近くには名水百選の水源がある」などと不快感を示した。また会談後に記者会見し
「最終処分場の建設には明確に反対だと伝えた。ただ、詳細調査の実施については聞く耳を持つべきで、今後、環境省と話し合って検討していく」と話した。

指定廃棄物は放射性物質が1キロ当たり8000ベクレルを超える稲わらや焼却灰など。栃木県内の処分場建設を巡っては2012年、同省が矢板市を候補地に挙げたが、県などへの事前説明がなかったことなどから地元が強く反発し、白紙に戻った。

その後、県内首長による会議を経て、詳細調査に入る候補地を1カ所に絞ることに地元が合意し、環境省が選定を急いでいた。
同県内で現在保管されている指定廃棄物は、約170カ所の計約1万4000トンに上る。

最終処分場は栃木のほか、宮城、茨城、群馬、千葉の計5県に建設することが決まっている。環境省が候補地を示したのは、宮城に次いで2県目。
宮城では候補地の3市町から1カ所に絞り込む協議を進めているが、いずれも地元の反対が強く、詳細調査入りのめどは立っていない。【渡辺諒、猪飼健史】