「人種差別への怒り」浮き彫り=警察、余った軍備品で重武装―米黒人射殺

時事通信 8月15日(金)16時14分配信【ニューヨーク時事】

米ミズーリ州セントルイス近郊で起きた警官の黒人青年射殺を引き金とする抗議デモは、人種差別で不当な扱いを受けていると考える黒人の警察に対する怒りを浮き彫りにした。
一部が暴徒化し、50人以上が逮捕される異例の事態となった背景として、軍隊並みに重武装した警官隊が鎮圧に当たったことで、黒人の反発を一層あおった可能性が指摘されている。
ニクソン州知事は14日午後、重武装のセントルイス郡警察を任務から外し、地元出身の黒人が指揮する州警察の高速道路パトロール隊の投入を決定、郡警官隊は撤収した。
同日夜もデモは続いたが、平和的なものにとどまった。デモ隊からは歓声が聞かれ、白人の参加者も増えた。
事件が起きた町ファーガソンは人口約2万1000人の63%が黒人だが、地元警察職員の9割以上が白人だ。
ロイター通信が伝えた2013年の州司法長官報告によると、黒人住民の逮捕率は白人の2倍。
黒人は差別されているという意識が強く、ノールズ町長は米メディアに「黒人住民、とりわけ若者は法執行機関を嫌い、自分たちも好かれているとは思っていない」と述べた。
一方、今回の騒乱では、装甲車に守られ、兵士のような防護服と暗視ゴーグルを身に着けた重武装の郡警官隊が、催涙ガスやゴム弾、特殊閃光(せんこう)手りゅう弾などを使用した。
丸腰のデモ参加者に小銃のレーザー照準光が当てられていたとの証言もある。
ホルダー司法長官は14日、「双方の信頼再構築を模索すべき時に軍用の装備や車両を投入すれば、矛盾したメッセージを与えかねない」と郡警察の対応を批判した。
米国では1990年代から、余った軍備品を国防総省が法執行機関に回すようになった。供給先はセントルイス郡警察を含む全米約8000組織に上るとされ、市民団体の「全米市民自由連合」(ACLU)は最近の報告で「米警察の過剰な軍事化」を警告している。