「被爆体験者」の手帳交付認めず 長崎地裁
2012年6月25日 14時40分

爆心地から半径12キロ圏内で長崎原爆に遭ったが、国が定めた被爆地域外にいたため被爆者と認められていない「被爆体験者」395人が、国や長崎県などに被爆者健康手帳の交付を求めた訴訟の第1陣の判決で、
長崎地裁(井田宏裁判長)は25日、請求を全て退けた。
判決理由で井田裁判長は「原告側が主張の根拠とした専門家の意見は合理的根拠を欠いており、原告は被爆者援護法が規定する被爆者に該当しない」と述べた。
原告側は「原子雲の下にいた住民は、降ってきた放射性物質を呼吸や食事で体内に取り込み、内部被ばくしたのは明らかだ」と主張。
直後に急性症状があり、現在も放射線による疾病があるとして「体験者がいた地域を被爆地域と認定しなかったのは違法だ」と、被爆者と認定するよう求めていた。
国や県などは「体験者がいた地域は爆心地から遠く、降下した放射性物質はわずかで、健康に影響が出るほどの内部被ばくがあったとは考えられない。急性症状はストレスや栄養失調によるものだ」と反論していた。
原告は97〜67歳の男女で、ほかに体験者計164人も同様の訴えを長崎地裁に起こし係争中。
長崎原爆で国は、被爆地域を南北に長い形で指定した。
被爆体験者は、その外側で原爆に遭った人たちで、被爆者援護法が適用されず、被爆者と援護内容に差がある。
(共同)