【事故の本当の原因は冷却用海水ポンプ】
 ―なんだか、絶望的な気持ちになります。
  そもそも原発事故はなぜ防げなかったのでしょうか?
アーニー
お金、採算の問題です。電力会社がコストを惜しんで安全対策を怠ってきたためです。
今回の事故の原因として、非常用ディーゼル発電機が地下階に設置され、
津波で水没したことが指摘されていますが、高台に2台、それぞれ異なる高さで
分散設置しておけば、水没は免れたはずでした。このためのコストは
1億ドル(約80億円)もあれば十分なのに、東電は実行しませんでした。
コストを惜しんだのです。
冷却用海水ポンプの問題に東電が触れたがらないのも同じ理由からでしょう。
 ―冷却用海水ポンプ? どういった問題なのでしょうか?
アーニー
原発の冷却システムは、燃料の崩壊熱を取り除く
循環系統(下図のA)と、海水をくみ上げて炉心から出る蒸気を冷却する
系統(下図のB)のふたつで基本的に成り立っています。昨年3月の原発事故では、
海べりにある冷却用海水ポンプは津波で真っ先に壊れました。ということは、
もし非常用ディーゼル発電機が無傷で、その電力によって原子炉を冷やすことが
できていたとしても海水での冷却機能は使えず、最終的に原子炉を根本から
冷やすことはできなかった。

『つまり、ディーゼル発電機が無事だったとしても、1〜3号機のメルトダウンは
防げなかったのです。』

海水ポンプを津波から守るには設備を防水すればいいのですが、
そのコストは100億ドル前後かかる。先日、

『中部電力が熱心に安全対策を進めている浜岡原発(静岡県御前崎市)を
視察したところ、海水ポンプの防水策を進めようとしているものの、
まだ実現できてはいませんでした。』
http://wpb.shueisha.co.jp/2012/03/15/10286/