http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013010602000077.html

福島第一原発事故を受け、東京電力は一日付で福島本社(福島県楢葉町)を設置した。
復興を迅速化するとして福島復興本社と名付けたが、約三千五百人の人員のうち、
実際に賠償や復興などに携わるのは約千五百人にすぎない。賠償問題で批判された
対応の遅れが改善されるかも不明で、被災者は「パフォーマンスでは」と冷ややかだ。

 福島本社は事故の対応拠点となっている「Jヴィレッジ」に置かれ、四日に業務を始めた。
福島、いわきなど五市にも事務所を設け、被災者の要望に応じた細やかな対応を目指すとしている。
 だが福島本社の人員のうち約二千人は、福島第一、第二原発や火力発電所などで働く
社員で、被災者支援や賠償に直接関わらない。
 福島本社を統括する企画総務部は「地域経済の復興策などを立案する」ことが目的というが、
社員の一人は「具体的な業務内容はまだ決まっていない」と打ち明ける。
 復興推進室は住民の一時帰宅時の手伝いや、被ばくしていないか調べるスクリーニングなど
「地域のニーズに応じた活動」が主な業務だが、これらは従来も行っており、目新しさはない。
 復興には迅速な除染が必要で、除染推進室が設けられたが、「どうすれば迅速化につながるか
は分からない」(本店広報部)と具体策は決まっておらず、福島本社ができて何が改善されたのかは見えづらい。
 会津若松市の仮設住宅で暮らす大熊町の馬渕和年さん(67)は「いかにも東電のパフォーマンス。
復興、復興と騒いでいるが、それほど期待はしていない」。
 飯舘村から福島市の仮設住宅に避難している佐藤明康さん(71)は、原発事故で仕事が
できなくなった賠償を求めて一カ月たったが、東電からは何の返答もない。「本社をどこに
置いても同じだ。でたらめで信用できない」と話した。