<東電事故調>非を認めず 最終報告案「状況の把握困難」 (毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120605-00000040-mai-bus_all

 東京電力福島第1原発事故で、東電は、政府の事故調査・検証委員会に批判された1、3号機の
事故直後の対応について、社の結論として非を認めない方針を固めたことが分かった。政府事故調から
「不手際」と指摘された点に関し、近くまとめる社内調査の最終報告書案で「状況を把握して対応するには
現実的に困難な状況だった」などと反論している。政府事故調は7月に最終報告書をまとめる方針で、
東電の主張にどう対応するかが注目される。

 社内事故調は、山崎雅男副社長をトップに幹部8人で構成。11年6月に社員らの聴取を始め、
同12月に主要設備は地震で損傷していないなどとする中間報告書を公表した。最終報告書では
事故対応などソフト面をまとめ、近く公表する。

 政府事故調(畑村洋太郎委員長)は昨年12月に公表した中間報告書で、1号機の冷却装置「非常用冷却装置(IC)」について
「認識不足や操作の習熟不足があり、全電源喪失直後に弁が閉じて機能していない状態に気付かなかった」と指摘。
バッテリーで作動する3号機の冷却装置「高圧注水系(HPCI)」の操作についても「代替注水手段が確保されて
いないのにHPCIを手動停止したのは、バッテリーが枯渇するリスクを過小評価し、(高圧のため注水できずにいた
原子炉の)減圧操作に失敗した」と批判した。

 これに対し、社内事故調の最終報告書案は、1号機のICについて「勉強会や試験などを実施してきた。
弁の動作も電源喪失のタイミングによって開閉いずれの可能性もある」「弁の状態を認識し、対応するのは現実的には困難だった」と弁明。
3号機のHPCIの操作についても、「損傷する懸念があり早急に止める必要があった」「減圧操作のための弁は
わずかな電力で開けることができ、操作可能と判断した」と主張した。

 東電は最終報告書の公表に向け詰めの作業を進めているが、「見解の相違は、当時の状況がそうだったという説明だ。
反論したいわけではない」(広報部)としている。【奥山智己】