NRCが80年代に圧力抑制プールの耐震脆弱性を認識しながら電力会社の意向で無視 
http://megalodon.jp/2011-0609-1248-03/mainichi.jp/select/science/news/20110609k0000m030147000c.html (抜粋)
東日本大震災で被災した東京電力福島第1原発の1〜5号機と同型の原子炉格納容器「マーク1」の安全性について、
米原子力規制委員会(NRC)が80年に再評価した際、原子炉格納容器の圧力上昇を抑える圧力抑制プールの耐震強度が
十分でない可能性を予測しながら、米国内の電力会社の意見を参考に「無視できる」と結論づけていたことが、
毎日新聞が入手したNRCの「安全性評価報告書」で分かった。
報告書によると、同プールは、格納容器内に高温高圧の水蒸気が充満した時に冷却、圧力を下げて爆発や炉心溶融
などを防ぐ役割であることから、危険情報を知ったNRCは安全性の異例の再評価を決定。
再評価チームは、地震で圧力抑制プールの内壁への振動圧力や水面の揺れによる水蒸気管の露出などから、
水蒸気が冷やされることなく過度の圧力がかかる可能性を指摘した。

しかし、プール内壁に対する最大圧力を「最高95%の確率で0.8PSI(1平方センチあたり56グラム)以下」
とする推計値をもとに電力会社側は「地震による冷却水の揺動を無視するよう」提案。NRC側も最終的に「無視できる」とした。
この報告書に基づく形で、日本の原子力安全委員会も、87年決定の「BWR(沸騰水型軽水炉)・MARK1(マーク1)型
格納容器圧力抑制系に加わる動荷重の評価指針」で圧力抑制プール内の地震揺動を検討項目に含めなかった。

報告書について、福島第1の建設を請け負った東芝でマーク1の設計を担当した渡辺敦雄・沼津工業高等専門学校特任教授
(環境工学)は、「原発の技術は確率論。冷却材喪失と地震、余震の同時発生は無視できると考えられていた」と語り、
「(日本の指針は)米国の考え方を輸入したもの。私もNRCと同じ意見だった」と明かした。
一連の事故原因と報告書指摘の問題点との直接の関係は明らかになっていないが、渡辺氏は
「地震で圧力抑制プールの水蒸気管が水面から露出して格納容器全体の圧力を高めた可能性がある」
と指摘、事故との因果関係を含めた強度調査の必要性を訴えた。