>>744
増殖を断念した結果、炉本体よりも開発困難な連続化学処理装置を廃止します。炉内で一様に燃焼を進行させるように炉心設計
を工夫して、炉内の黒鉛取り替え不要を実現します。これで、困難な保守作業が減り、炉本体は単純な溶融塩タンクです。
また発熱密度が低くなり、熱媒体の核燃料塩を減らせ、黒鉛減速材割合が増大でき、中性子減速能が高められて、233U燃料の
自給自足(燃えただけを炉内で再生)をほぼ実現できます。
 これは予想を大きく上回る理想的成果で、しかも 10−30万kWe規模の小型炉で実現可能です。

これを「不二:FUJI」炉と命名しています。

炉内は、燃料塩と容積の90%を占める裸の黒鉛のみから出来ています。核燃料は233Uを最初に供給するのみで、不
足してくるトリウム塩の追加(日量数百グラム)も半年に一度位で済みます。炉寿命の間、他の核物質は殆ど取扱不要で、解体後に
全燃料塩を化学処理工場に持ち帰ればよいのです。核物質の路上輸送総量は大きく低減(数十分の一)されます。核燃料には23
3U・235U・239Puのいずれも使用可能です。
運転中は、気体放射能物質のクリプトン、キセノンおよびトリチウムを常時除去し、環境に放出されやすいこれらの放射能は事故
が起きても最少限の放出に押さえられます。自己制御性・負荷追随性の強い炉の運転・保守作業は単純で、小型炉でも充分経済
性を確保できます。
 この他多くの特長があります。熱効率を44%以上にでき、軽水炉より廃熱が半分近くに減ります。