「正常バイアス」を打ち破ったうえで落ち着いて判断し行動する人が最終的には生き残る。

世界で起きたバイアス悲劇

 韓国・大邱(テグ)市で発生した2003年2月の地下鉄放火事件は、正常性バイアスが
招いた災害での悲劇の象徴的な例だ。
 放火された車両から火が燃え移った対向電車で、煙が立ち込める中、ハンカチで口を覆い
ながら車内でじっと待つ乗客の姿が撮影されている。「安心してください」との車内放送も
流され、運行側が乗客のパニックを恐れて情報を出さないのと、乗客側の正常性バイアスが
重なり、被害の拡大につながったとされる。避難が遅れ、死者192人を出した。