原発の本当のコスト  大島堅一・立命館大教授による

1キロワット時当たり、●火力9・80円●原子力8・64円●水力7・08円
電力9社が公表している有価証券報告書総覧のデータ(1970〜2007年度の合計)を経済産業省の料金算定規則に基づき電源別に推計

ここで注意が必要なのは、原発は出力調整が出来ないため、需要の少ない深夜電力で水をポンプで上げて貯水し、昼間に発電する「揚水発電」をしている点だ。
原発のコストは「原子力+揚水」で見なければいけない。
水力のうち、揚水は51・87円、一般水力は3・88円。「原子力+揚水」は●10・13円となり、火力を上回り最高額となる。

上記コストは、(1)と(2)のみから算出
(1)発電に直接要する費用(燃料費、減価償却費、保守費など)の他に、
(2)原発に特有の「バックエンド費用」(使用済み燃料再処理費、放射性廃棄物処分費、廃炉費)
(3)国からの資金投入(開発・立地のための財政支出)
(4)事故に伴う被害と被害補償費

(3)の財政支出は年間4000億円
国家財政からの資金投入は、一般会計と電源特会から行われている。電源別に計上された財政資料は存在しないため、「国の予算」を基に可能な限り再集計した。
1970〜2007年度の合計で見ると、95%が原子力に費やされていた。火力の106倍、水力の27倍だ。

(1)(2)に(3)を加えた「総単価」を電源別にみると、●原子力10・68円●火力9・90円●水力7・26円。
一般水力3・98円、揚水53・14円で、「原子力+揚水」は●12・23円に跳ね上がる。原発は安価ではないどころか、国民にとっては最も割高であることが明らかになった。

事故を考慮すれば、原発は生み出す経済的利益よりも損失の方が大きいのではないか。福島第1原発事故のようなことがあれば、普通の企業なら倒産する。

東日本大震災:福島第1原発事故 原発の問題点を聞く/上 /京都 毎日 2011.4.3
http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20110403ddlk26040355000c.html
東日本大震災:福島第1原発事故 原発の問題点を聞く/下 /京都 毎日 2011.4.10
http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20110410ddlk26040370000c.html