<イラン核>実質交渉入りできず 6カ国に権利主張
毎日新聞 1月22日(土)21時27分配信【イスタンブール福島良典、テヘラン鵜塚健】

国連安保理常任理事国(米英仏中露)にドイツを加えた6カ国とイランは22日、トルコ・イスタンブールでのイラン核開発問題を巡る協議を終えた。
2日間の協議ではイランが保有する低濃縮ウランの扱いについて実質交渉の開始が模索されたが、合意できなかった。
イランの核兵器保有を阻止したい6カ国側と、「ウラン濃縮の権利」を主張し、制裁解除に道筋をつけたいイラン側との根本的な対立構図は解けず、次回協議の日程も決められなかった。

「核兵器は誰も持つべきではないが、原子力エネルギーは全員が持つことができる」。
ボスポラス海峡を望むオスマン帝国時代の宮殿で開かれた協議の終了後、イランのジャリリ最高安全保障委員会事務局長は欧米などが求めるウラン濃縮活動の停止には応じない姿勢を強調した。

6カ国側の目標は「イランが保有する低濃縮ウランの大半を国外に搬出するのと引き換えにテヘランの研究用原子炉向けの核燃料を提供する」という構想で具体的な交渉を開始することだった。
ウランの濃縮と加工を国外に「委託」し、兵器転用の可能性に歯止めをかけるのが狙いだった。

だが、イラン側は「原子力エネルギーの平和利用は核拡散防止条約(NPT)で全加盟国に認められている」(ジャリリ氏)と主張。
6カ国側が提案した国外搬出構想に関する実質交渉入りの前提条件として制裁解除を求めた。対話継続のハードルを上げた形だ。

協議を「イランの『本気度』を占う試金石」と位置づけていた6カ国側に失望が広がった。欧州連合(EU)のアシュトン外務・安全保障政策上級代表(外相)は、
イランが提案に返答しない時には「国際社会が(対応を)検討することになる」と述べ、今後、国際圧力が強まる可能性を示唆した。