トチノキ伐採から守れ 高島・朽木地域の住民ら環境保全活動
2010年11月28日

高島市朽木地域に数多く残るトチノキを守ろうと、地元住民らが動き始めた。
樹齢数百年を超える巨木は、環境を保全し地域の財産になると位置付け、10月末に「巨木を育(はぐく)む豊かな森と水源の郷(さと)をつくる会」を発足させた。
一方、同地域では売買契約を結んだ上での伐採が進む。対立を避け、どう解決するか−。住民らは一筋縄でいかない問題に直面している。

同会によると、トチノキは東北から九州まで分布。幹回り3メートル以上(地上から高さ1・3メートル)の巨木は、近畿では滋賀、京都両府県北部に集中する。
同地域の安曇川水源域には約150本あったと推定されるが、2年ほど前から今年にかけて約50本が切られ、内装や家具などの原材料になったという。

希少野生動植物保存推進員(環境省委嘱)でもある青木繁会長は「一度にたくさん切ると環境への影響が大きい」と主張する。
トチノキの枝は20メートル以上も伸びるため、その下が日陰になって他の木が生えづらい。切られると広い空き地ができ、雨が降った際に斜面が崩れる恐れがある。

またトチの実は古くから食料として重宝されてきた。
「木が無くなれば実も採れない。地域が培った文化や歴史が失われる」と指摘し
「復元には樹齢以上の年月がかかる可能性がある」と危惧(きぐ)する。