昔から彼のまわりには、いつも太鼓の音が鳴り響いていました。
彼は、それを自分に対する賛辞と忠誠の音と勘違いしてきました。
太鼓の音は大きいほど気持ちいい。それがいかにわざとらしくても。
耳障りな音は怒鳴り声でかきけして、いつも自分にとって心地いい音しか
許しませんでした。耳障りな音を出す者は自分の視界から消し去ってきました。
そして彼の周りには、いつの間にか太鼓持ちしかいなくなったとさ。