スマートグリッドの行方
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1007/07/news005.html

電力会社に遠慮する日本、新たな電力網を構築する米国

 ここ数年、米国ではカリフォルニア州などで大規模な停電事故が発生している。
発電所新設の停滞、変電所の設備や送電網の老化などが原因だ。
これらの課題に対し、米国は次世代の電力供給システムの構築によって対処しようとしている。

 米国エネルギー省(Department of Energy:DOE)は、発電量の小さな発電所を消費地の近くに
複数作り、グループ化している(これをコンピュータ的にノードと呼ぶ。各ノードは独立している)。
各ノードで電力の消費パターンが異なり、電力の余剰と不足が恒常的に発生するが、
その電力はノード間で電力を自動的に融通される――。これが次世代電力供給システムの姿だ。

 もちろんこの構想に対して、コストや安定供給の面で、既存の電力会社が賛成するはずがない。
発電機やタービン、変電設備を製造している事業者も同様だ。では、こうした次世代システムは
誰に恩恵をもたらすのだろうか。

電力ベンチャー企業の育成と新産業創造

 ブッシュ氏が大統領を務めていた2008年11月、米国エネルギー省は、先進的太陽光起電力技術の
開発費用1760万ドルを、光起電力モジュールのインキュベータープロジェクト6件に助成すると発表した。
一般企業からの約20%の費用共有を含めると、総研究投資額は3540万ドルに達する見通しだ。

 投資先は、ソーラーパネルや太陽光発電関連の機器を開発するベンチャー企業に集中している。
具体的には、一般家庭の積算電力計にインテリジェント機能を付加した「スマートメーター」、
スマートグリッド網に備える「グリッドラウター」などを開発する企業だ。
ちなみに、既存の電力会社は投資先にはない。