カンキョー 水不足問題に新技術 太陽熱だけで空気から飲料水 (1/2ページ)
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 空気清浄機、除湿機を製造・販売するカンキョー(横浜市中区)は、電力や燃料を
使わず太陽熱だけで、効率的に空気中から水分を取り出して飲料水を作り続ける実験
に成功し、技術開発に着手した。アフリカなど世界的な水不足問題の解決に向けて開
発する。2012年度内に大きめの電話ボックス程度で、飲料水を毎日200リット
ルつくる実用化に取り組む。

 ◆電力なしで稼働

 空気中から水を取り出すのは電力さえ使えば市販の除湿器でもできる。新技術は、
重力と太陽熱をうまく組み合わせて電力なしに稼働するようにし、インフラの整って
いない場所でも使えるようにした。また、壊れにくく、メンテナンスも最小限にする。

 具体的には、塩化リチウムを主成分とした円盤状の吸湿膜の一部に大気を当てるこ
とで、水を吸った部分に荷重がかかって円盤を回転させる。太陽熱を使って煙突効果
による上昇気流を生み出し、水を吸った吸湿膜から高温多湿の空気を作り出す方法を
利用した。送られてきた高温多湿の空気を外気で冷やして結露させる。さらに、夜間
の大気放射冷却を用いて熱帯地方でも0度近辺の低温を作り出す「スカイラジエータ
ー」の原理も応用して性能を高める。

 相対湿度40%、気温20度あれば十分だが、20%、10度というかなり乾燥し
た条件でも水がつくれる見通しだ。

 材質は鉄板やガラス管などを使用する予定。メンテナンスが必要になるのは、吸湿
膜の手前の空気フィルターの目詰まりを掃除することぐらいだという。