焦点:新成長戦略、雇用増やアジア輸出に期待の声
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-15867720100617

 菅直人政権が打ち出す新成長戦略について、社会保障分野での雇用増やアジア向けのサービス輸出、
インフラ支援への期待が高まっている。一方で経済界からの要望の強い法人減税は財源の問題に加えて
その効果も限定的との見方が浮上している。

 <社会福祉強化による雇用増に期待、箱物投資回帰の指摘も>

 成長戦略で打ち出される見通しの産業支援策について、事前に伝えられている内容を総合すると、
自民党政権時代と大きな変化がないメニューが並ぶ。環境・エネルギーや観光、都市部での公共事業、
規制改革などは以前からテーマに上っていた。それでも「以前は実現に至らなかった政策でも、
日本経済に今ほど危機感が高まっていた時期はこれまでなかったため、今回は実現できそうだ
という期待が持てる」(第一生命経済研究所・主席研究員・永濱利廣氏)との期待感もある。

 特に菅政権が打ち出した方向性として、医療や介護といった社会保障分野の強化を雇用に
つなげる手法については「日本経済の足を引っ張っている将来不安の解消にもつながるため、
どこまで踏み込めるか注目している」(伊藤忠商事・主任研究員・武田淳氏)との声もある。

 一方で「結局は箱物投資という自民党政権と同じ道に回帰したという印象も否めない」
(クレディ・スイス証券・チーフエコノミスト・白川浩道氏)との指摘もある。
同氏は、新成長戦略の案で具体的な雇用増加のイメージを打ち出したのは、
1)環境未来都市づくり(140 万人の雇用創出)、
2)総合特区制度の創出とオープンスカイ推進(56 万人の雇用創出)であり、
社会資本整備による雇用増であれば、自民党政権と似通った結果となり目新しさに欠ける、と見ている。