「政治迎合は学者生命にかかわる」 温暖化試算、お蔵入りの背景は…
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/091129/stt0911292203013-n1.htm

 鳩山政権が国際公約に掲げる温室効果ガスの25%削減。その家計への影響を検討してきた
政府のタスクフォース(有識者会議)が24日、試算をまとめたが、政府は非公表扱いとし、
来年2月までの再試算を命じた。なぜ試算は“お蔵入り”となったのか−。その背景として、
不都合な結果を避けたい政権の意向をめぐり、タスクフォース内で対立や暗闘があったことが
29日、産経新聞が入手した議事録などで明らかになった。

「ネガティブな印象」
 「このまま数値が出ていくと、国民にネガティブなイメージを与えてしまう」
 24日夕、首相官邸で開かれた「地球温暖化問題に関する閣僚委員会」の副大臣級検討チームの
会議。福山哲郎外務副大臣は、タスクフォースの植田和弘座長(京大教授)が提出したA4版
約30枚の報告書を非公表とするよう訴えた。
 タスクフォースの主な任務は、鳩山由紀夫首相による「2020年に温室効果ガスの排出量を
1990年比で25%削減」という目標実現のため、どれくらいの家計負担が必要かという試算。
だが、報告書には、1世帯当たりで最小3万円から6万円、10万円、14万円…などと、
さまざまな結果が羅列された。最大は76万5千円。前政権が民主党批判の材料とした
「36万円」の2倍以上で、鳩山政権の意向に沿うはずもない。
 試算結果がバラバラなのは、5つの研究機関や大学が試算したためだ。前提条件の違いもある。
全量を国内で削減すれば家計負担も増えるが、海外から「排出枠」を割安に購入できれば家計への
しわ寄せも小さくなる。ただ、何よりも深刻だったのは、タスクフォース内での意見対立だった。