「温室ガス削減もう無理」鉄鋼・電力業界が予防線
http://www.asahi.com/eco/TKY200912230345.html

 国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)の政治合意がまとまり、先進国は2020年の
自国の削減目標を来年1月末までに一覧表に書き込むことになった。鉄鋼や電力など日本の
一部産業界からは、鳩山政権が掲げる「1990年比25%削減」の見直しを求める声が噴出している。
温室効果ガスの削減は「これ以上できない」と、各業界は予防線を張るのに懸命だ。

 「削減目標は90年比25%削減ありきでなく、早急に再検討すること」。日本鉄鋼連盟の
宗岡正二会長(新日本製鉄社長)は21日、政府に削減目標の見直しを求める見解を発表、会見でも
「日本だけが突出した目標を掲げると、日本の産業構造に大きな影響を与える」と強調した。
日本製紙連合会の芳賀義雄会長(日本製紙グループ本社社長)も同日の会見で
「国際競争力の低下につながる」と、25%削減を見直すよう求めた。

 電気事業連合会の森詳介会長(関西電力社長)も19日に出したコメントで
「『すべての主要国の参加による意欲的な目標の合意が前提』という基本原則を崩さず」
などと強調し、安易な25%削減の書き込みを牽制(けんせい)した。

 鳩山由紀夫首相が9月に国連で「90年比25%削減」を公約し、麻生前政権の「8%削減」が
ほごになったことで、鉄鋼や電力などのエネルギー多消費業界は大きな衝撃を受けた。
巻き返しに出たのは12月のCOP15直前だった。

 まず、鉄鋼連盟が11月下旬、20年時点で500万トン減らすという独自の二酸化炭素
(CO2)削減目標を発表。500万トンは日本の鉄鋼業界が排出するCO2約1億8千万トン
(08年度)のわずか2.8%で、鳩山政権に対して「削減できない」と宣言した形だ。
さらに鉄鋼連盟や電事連など9団体で、京都議定書の暫定延長などに反対する文書を作り、
政官界への働きかけを強めていた。