ドイツ総選挙:「脱原発」が争点に 市民団体が大規模デモ
http://mainichi.jp/select/world/news/20090907k0000m030065000c.html

 総選挙(27日投開票)を前にしたドイツで、「脱原発」を維持するかどうかが争点として
浮上している。メルケル首相が主導して中道右派政権ができれば、原発の運転期間延長を目指
す可能性が高い。これに反対する市民団体が5日、ベルリンで大規模なデモを開催、社会民主
党や緑の党幹部も参加した。世論調査では6割が運転期間延長に反対しており、左派系政党は
この世論を「反中道右派」に結びつける戦略だ。

 デモは主催者発表で5万人、警察発表で3万6000人規模。旧ソ連のチェルノブイリ原発
事故をきっかけに反原発世論が盛り上がった86年以来の規模。

 脱原発は、社民党と緑の党連立のシュレーダー政権が02年に法制化。05年の総選挙で発
足した社民党とメルケル首相率いるキリスト教民主・社会同盟の大連立政権は、脱原発政策維
持で合意した。

 しかし、メルケル首相は最近、「再生可能エネルギーが十分に利用できるようになるまで、
橋渡しとして使うべきだ」と、原発の運転期間延長に意欲を見せている。

 世論調査機関TNSエムニドによると、59%が運転期間延長に反対している。ただ、選挙
と結びつけて考える有権者は少ないとも言われている。

 社民党のガブリエル環境相は、放射性廃棄物処理を巡る問題を持ち出し、世論喚起を狙って
いる。環境相は今月初め、最終処分場候補地とされてきた中北部ゴアレーベンを利用しないと
発言、処分場立地問題を振り出しに戻させた。また、中北部アッセの核廃棄物中間貯蔵施設で
昨年、放射線漏れが発覚したのを受け、政府は事業主体を国に移管するとともに施設の廃止方
針を決定している。