原子炉製造技術:ロシア企業取得狙う 日本、官民で防衛
http://mainichi.jp/select/today/news/20090508k0000m030149000c.html

 世界随一の原子炉製造技術を持つ日本メーカーをロシア企業が買収しようとし、
日本が官民挙げての防衛策で阻止していたことが7日、明らかになった。
麻生太郎首相は11日から来日するロシアのプーチン首相と日露原子力協定調印で合意するが、
協定締結は両国の攻防の末の妥結策でもあった。

 07年2月28日、来日したフラトコフ露首相(当時)は安倍晋三首相(同)と会談し、原子力
協定の交渉を始めることで一致した。2日後、「ロシアのアルミ王」と呼ばれた富豪デリパスカ氏が、
首相随行団から離れ、技術者を伴って日本製鋼所室蘭製作所(北海道室蘭市)を視察した。

 原子炉の心臓部の圧力容器は、継ぎ目を極力減らすため巨大な鋼塊をプレスして造る。原子炉は
大型化しているが、同製作所は世界最大の約600トンの塊を造る技術を持ち、他の追随を許さない。

 技術に驚嘆したアルミ王は、関係者に言った。「あの会社の株を取得できないか。買収したい」

 デリパスカ氏はプーチン首相との親密な間柄で知られる。日本政府に
「買収はロシア政府の意向だ」と危機感が走った。