アイスランドでバナナが育つ!? アイスランドの地熱エネルギーに迫る
ttp://journal.mycom.co.jp/articles/2009/03/05/geothermal/

1 環境にも人にもやさしい地熱エネルギーとは?

アイスランドを車で走っていると、あちらこちらにモクモクと湯煙が立ち昇っている姿に出会う。
これは主にアイスランドの地熱地帯で見られる光景なのだが、「火山国」アイスランドの地熱活動が
いかに活発かを物語っている。

この活発な地熱活動を積極的に利用した発電方法が、アイスランドでは広く普及している。それが
「地熱発電」と呼ばれるものである。日本ではあまり耳慣れない言葉であるが、地下深部のマグマの
莫大なエネルギーを利用した発電手段のことである。アイスランドのような火山国は地熱エネルギー
が豊富にあり、また自国の自然エネルギーを利用することで、化石燃料の輸入を資源国に頼る必要性
もない。地熱発電はまさに、アイスランドに適した発電手段なのである。

クリーンな地熱エネルギーでも、二酸化炭素の排出は避けられない。だが、それでも地熱を利用した
発電の場合、石油や石炭などの化石燃料を利用した場合と比べると、二酸化炭素の排出量を20分の1
までに押さえることができる。地熱は安全で環境にもやさしい、クリーンな天然エネルギー源という
わけだ。

アイスランドの地熱地帯は、国のほぼ中央を走る地溝帯(ギャウ)を中心に広がっている。地熱地帯は、
大きく分けて高温度地帯と低温度地帯の2つがある。高温度地帯の代表的なものは、アイスランド南
西部のヘンギットル(Hengill)活火山付近。ここには、レイキャビックを中心とした首都圏への家庭の
ヒーターや温水プール、工場へ熱水を供給している、アイスランド最大のネシャヴェトリル
(Nesjavellir)地熱発電所がある。この地熱発電所だけで、アイスランド人口の約半数以上にあたる
人々の需要を満たしているという。

一方、観光スポットしても人気の高い間欠泉のあるゲイシール(Geysir)は、低温度地帯の代表的なもの。
数分おきに温泉水が高々と吹き上げる、そのダイナミックな様は必見である。世界最大の露天風呂
「ブルー・ラグーン」も実はこの低温度地帯の地熱エネルギーを利用して造られたものなのである。