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 環境省は、環境と経済活性化を両立させる事業を提案した自治体に、交付金を出している。
会を中心とする住民たちは、この交付金を会社の資金にしようと計画。備前市と交渉して応
募するよう求めた。

 05年から3年間で2億円余の交付が決まり、市民から募った出資金を再生可能エネルギ
ーによる熱利用や発電事業に出資する「自然エネルギーファンド」の仕組みも活用すること
で、会社の資金はめどが立った。05年12月にグリーン社が誕生。資本金1000万円の
一部は住民が寄付した。

 主な事業は、一種のリース方式だ。太陽光発電パネルや、木くずを固めたペレットを燃料
とするストーブ(ペレットストーブ)を、顧客である備前市や市内企業に設置する。顧客は
毎月、一定の料金をグリーン社に払う。顧客は高額な設置費を一度に払わずにすみ、太陽光
やバイオマスを導入しやすくなる。

 同社を運営するため、環境エネルギー政策研にかかわった3人が、備前市に移り住んだ。
転入は珍しく、住民に歓迎されている。

 大阪府で団体職員をしていた松本照生さん(39)は妻と2人の子どもを連れて引っ越し
た。歓楽街もショッピングセンターもない環境だが、「給料は少ないですが、地域のセーフ
ティーネットに助けてもらっている」と満足そうだ。住民たちが、サツマイモやダイコン、
ジャガイモなど取れたての野菜や、干し柿など地元の特産品を提供してくれるという。

 「水と森と里山の会」の西村礼子さん(62)は「都会の人と思っていたけど、なじんで
くれた。これからも多くの人が来てくれるかも、と期待している」と夢を膨らませる。