41%と記録的な変換効率の太陽電池、ドイツFraunhofer研究所が開発(2009/01/19)
http://eetimes.jp/article/22731/

ドイツのフライブルグを拠点とする研究機関のFraunhofer Instituteは、太陽電池の変換効率を41%にまで高めることに
成功したと発表した。同研究機関は、「世界最高となる変換効率を実現した」と主張している。

 Fraunhofer InstituteのSolar Energy Systems部門(Fraunhofer ISE)の発表によると、こうした高い変換効率の実現
には、太陽電池向け半導体材料を成長させるためのある技術が大きく貢献しているという(参考リンク:英語の発表資料)。

 今回発表された太陽電池は、GaAs(ガリウム・ヒ素)やGe(ゲルマニウム)の基板にIII-Vの半導体材料を蒸着させて
作られている。同研究機関は独自に開発した「アモルファス多セル(amorphous multiple cells)」技術によって、不純物
による電荷トラップの発生を回避することに成功した。一般に、格子定数が異なる材料を用いた場合は、電子が異なる材料間
を移動する際にトラップされるという現象が発生する。だが同研究機関の研究者らは、この現象が太陽電池の中で電子が少ない
領域でしか起こらないように改良を加えたという。その結果、電子が集中する領域では電子トラップの発生をほぼ回避でき、
41%という高い変換効率を実現できた。同研究機関でマネジャーを務めるEicke Weber氏は、今回の成果について、「半導体
材料中の結晶欠陥を制御することで、技術的なブレークスルーを果たせるという好例だ」と述べている。

 Fraunhofer Instituteでは、454の集光比で集めた光を5mm2(平方ミリメートル)の太陽電池に照射する実験を行い、41.4%
の変換効率を得ることに成功した。