東日本石炭じん肺訴訟:27人和解成立 亡くなった仲間が…やり切れぬ思いも /茨城
1月25日12時1分配信 毎日新聞

◇「患者には長い2年」
かつて県内や福島県の炭鉱で働き、じん肺になった患者54人(うち17人死亡)が国に約5億9400万円の損害賠償を求めた「東日本石炭じん肺訴訟」で、27人の和解が24日、水戸地裁(志田博文裁判長)で成立。
和解成立者は計49人になった。06年4月の第1陣提訴から2年弱で訴訟は峠を越えたが、その間4人が亡くなり、患者たちはほっとした様子ながらも
「この日を見ないで亡くなった仲間がいる」と病の過酷さと国の対策の遅れに改めてやり切れない思いを隠さなかった。
この日和解したのは北茨城市や福島県いわき市に住む70〜87歳の16人と、死亡した11人の遺族ら。
和解条項で、国は1960年のじん肺法施行後もじん肺防止のための十分な規制措置を取らなかったことを認めて謝罪。
1人当たり428万〜916万円を支払う。
山下登司夫弁護士は「国を相手にした裁判では早い方だが、患者には長い2年だったのでは」と話した。
原告団長の鈴木三郎さん(82)=北茨城市=は「和解を待たずに亡くなった仲間がいる。(残りの患者の和解まで)戦いを続けたい」と決意を新たにした。
社会保険庁の記録ミスで就労証明が得られなかったため第1陣に参加できず、07年8月に提訴した北茨城市の小室広志さん(77)も和解し
「こういうふうに早くみんなとできると思わなかった。やっと安心した」。
00年に夫勝美さんを69歳で亡くした同市の相澤ミヤノさん(73)は「いい知らせを仏前に持ち帰れます」と、ほっとした表情を浮かべた。
残る患者は5人。弁護団は「遅くとも4月には全面解決を図りたい」としている。【山崎理絵】