部下を上手に“叱る”“褒める”“ピンチを救う”(日刊ゲンダイ)
 若い社員が入社3年足らずで会社を退職する時代に突入して、部下への話し方がますます難しくなったと考える上司は多いだろう。そこで「叱(しか)る」「褒める」「ピンチを救う」――この3つのシーンごとに、部下に対する“最良の話し方”を考えた。


●腐らせたら成果は上がらない

「上司の最大の仕事は、“部下を使って成果を上げる”ことです。上司の話し方ひとつで、部下が腐ってしまったら、成果を上げられる可能性は小さい。部下をヤル気にさせるか、逆に意欲を減退させるかは、上司の話し方にかかっています」

 こう指摘するのは京都産業大文化学部客員教授の樋口裕一氏だ。最近、新書「頭がいい上司の話し方」を出版した。

 樋口流の「叱る」「褒める」「ピンチを救う」話し方は、こんな具合だ。


●3回目にはガツンとやる《「叱る」編》

 仕事のミスはその都度、叱るというよりは原因を指摘し、注意します。叱らなければならないケースは、ふてくされている、服装や頭髪などがだらしない、ヤル気が失せているといった場合です。

“腐ったリンゴ”は、ほかのリンゴを腐らせます。野放しにしてたら、上司の権威を保つことはできないし、ほかの部下の信頼を失いかねません。

 1回目、2回目は様子を見て、2回目で“次は容赦しないゾ”と腹を決める。3回目に「キミの態度は何だ。周りに悪い影響を与えている」とガツンとやる。ただし、人前で叱ると、相手の心が傷つきますので、別室で1対1で行う。1、2分程度で済ませるのが賢明です。


●話は1,2分で切り上げ《「褒める」編》

 仕事で素晴らしい実績を上げたら、当然、褒める。

 職場の同僚たちが顔をそろえる夕方あたりに「今回、○○クンの働きで大きな仕事が受注できた。本当によくやった」などと言えばいいでしょう。

 しかし、話が5、6分も続くと、ほかの部下は“○○のツメのアカでも煎じてのめってことか”と嫌みにとるので、こちらも1、2分で切り上げる。

 ただ、その部下とライバル関係の人間がいたら、ライバルが不在のときに褒めるべきです。ライバルが腐るかもしれません。