11人が死傷した2004年8月の関西電力美浜原発3号機(福井県美浜町)の
配管破損事故で、福井地検は、業務上過失致死傷容疑で書類送検された
関電旧若狭支社の井戸浦靖雄・保修グループチーフマネジャー(48)(肩書は当時)
について、事故の予見は困難だったとして、嫌疑不十分で不起訴とする方針を固めた。
同容疑で書類送検された同原発の関電社員ら5人は、略式起訴する方向で上級庁と
最終協議に入った模様だ。

 調べでは、事故1か月前の04年7月初め、関電大飯原発1号機で、
国の基準以下にすり減った2次系配管が見つかり、同支社は全原発に
調査を指示。美浜原発では事故の約2週間前に、破損個所を含む
未点検の配管が見つかった。しかし、調査を指揮した
井戸浦チーフマネジャーに伝えられず、地検は「事故の回避措置を
指示するのは困難だった」と判断したとみられる。

 一方、同原発の関電社員4人とグループ会社の旧日本アーム社員は、
事故の前に破損個所が未点検と気付いており、過失責任はあるとみている。
しかし、関電は現場の担当者に2次系配管の危険性を周知しておらず、
担当者が負う責任は限定的として、公判請求は見送る意向だ。

(2007年3月16日 読売新聞)