羽田で廃食用油循環 バイオ燃料化、作業車運行へ
1月28日8時0分配信 産経新聞

国土交通省は、羽田空港で、ターミナルビルの飲食店が廃棄する食用油を使って、バイオディーゼル燃料(BDF)として空港内の作業用車両に活用する方針を決めた。
既に試験運用を始めており、年内に廃油をBDFに精製する再処理プラントも空港敷地に設置、空港内で循環させるシステムの本格導入を目指す。全国の空港で初めての試みだ。

同省東京空港事務所によると、羽田空港の第1、第2ターミナルビルには約90店の飲食店が集中しており、テンプラ油などが1日500リットル廃棄される。
ターミナルビルを管理する「日本空港ビルデング」や日本航空、全日空の関連会社などが協力。1年後の実用化を目指して、昨年12月中旬に試験運用を始めた。

同事務所は「空港外に廃棄物を出すことなく、循環できる仕組みをつくりたい」と環境対策から検討したが、試験運用の結果、「市販の軽油より安くできる見通しがたった」と、折からの原油高騰にも効果的とみている。
高騰した軽油よりも30円以上安く、1リットル100円以下で提供しており、本格導入を決めた。

試験運用では、1週間で約1200リットルの廃油を回収し、約1000リットルのBDFを製造。
軽油を25〜30%混入し、航空機に荷物を運ぶコンテナの牽引(けんいん)車や工事車両の燃料として使用している。

今後、ターミナルビルだけでなく、機内食を作る会社や航空機整備工場などにも廃油回収を拡大する方針で、空港内にも自前の再処理プラントを設置する。

事務所の試算では、廃油から年間15万5000リットルのBDFが製造できる見通しで、空港全体の軽油使用量の3・3%に相当する。
環境対策では、年間400トンの二酸化炭素(CO2)が削減できる計算となる。CO2を吸収した植物を原料とするBDFは、もともと大気中に存在した量以上のCO2を放出していないとみなされるためという。