年末年始にかけて電力会社の経営達の話を聞く機会を得た。
真っ先に気になったのが、彼らのビジネス感覚、とりわけ洞察力だ。

 某常務:「サブプライム問題は半年か1年で解消されると思っていた」
 某社長:「金融危機は、まったく予期していなかった」

インフラ事業の経営者というのは20〜30年のスパンで物事を見ると言うが、
それにしてはあまりにも不見識であり、世間知らずもいいところ
ではないだろうか。

世界の金融危機については、2006年当時からその懸念が出ていたし、
サブプライムの毒は総額300兆円、ファニーとフレディの住宅2公社の
債権総額は500兆円を超える。

2007年春、シティのCEOが40兆円の資産処分に言及し、クビになっている。
その後シティは政府管理に置かれている。同じく政府管理下のAIGは常に
キャッシュ不足で綱渡り状態が続いている。

米国の実体経済の悪さも底知らずだ。
東欧・中亜・中東・印・中国・ブラジル、ともに急減速・後退。
金融危機の本当の地獄はこれから始まるのだ。

電力会社の本店には毎度失望を禁じえないが、しかし、現場はまったく違う。
まさに現場力で電力事業を支えていることが感じられる。

本店経営層に今一度、世界のエネルギー産業の大変化に気づいてもらいたい
ものだが、彼らの感覚はそれには遠い。

戦後、日本経済を支えた電力事業だが、その気概を彼らに問い直したい。
電力の鬼・松永翁が泉下で嘆いている。