>>931
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さらに東電は6号炉で放射能を含んだ水が放水口から海に放出されたと発表した。
発表では6万ベクレルである。
この発表がそのとおりとすれば、放射能による環境や人体への影響はほとんどないと言えるかもしれないが、そう言うには放射能の種類ごとのデータが不可欠だ。
また、漏れの原因については十分に調査されるべきである。
使用済燃料プール水が揺れで溢れだした可能性は高いが、例えば、プールに亀裂が入っていることも、プール水循環装置からの漏えいも考えられる。
このような場合、漏えいは止まらず、早急な対策が取られなければならない。
水漏れから放射能の確認まで6時間近くたっており、原因究明が急がれる。
使用済燃料プール水の溢れだしは地震のたびにおきていることからすれば、海への放出にまで至ったのは明らかな対策の不備である。
建屋内の情報が公表されないので被害状況が分からないが、機器や壁などがさまざまな影響をうけているに違いない。
今回の地震の揺れは設計用限界地震(実際には起こらないが念のために想定する地震動)として想定した値を超えていた。
東電の発表によれば、最も厳しい場合が1号炉でおよそ 2.5倍に達している。
今回の地震は東西30q、深さ25qの断層が破壊されたという。
そして、原発建設時にはこの断層は検討されなかった。
検討されていたのは20qも先の中越地震を起こした断層の一部だ。
耐震設計の甘さが否めない。
想定外の場所で想定を超える地震が発生したことから、陸域・海域を含め周辺の地盤や地層の十分かつ厳密な調査を欠くことはできない。
東電はまずこれを進めるべきである。
2005年8月16日の宮城県沖地震、07年3月 25日の能登半島地震、そして今回の中越沖地震、わずか2年ほどの間に3回もそれぞれの原発での設計用限界地震を上回った地震が発生している。
原子力安全委員会は06年9月に耐震設計審査指針を28年ぶりに改定し、電力各社は既存原発に対して新指針に基づく耐震安全性チェックを進めているが、ほんらいはすべての原発を止めておこなうべきことであろう。
原発を稼働しながら数年内にチェックを終えればよしとしている原子力安全・保安院の現在の姿勢は根本的に見直されるべきである。