石間区の権利を、できるだけわかりやすく説明します(そのため、入会漁業権
 であることについてはここでは触れません)。少し難しいかもしれませんが、石
 間区のあの純朴な素晴らしい方々を支援したいと思う方は、頑張って読んで下さ
 い(長いので分割して掲載します)。
  石間区の磯草の権利は、明治34年漁業法の地先水面専用漁業権の免許を受けて
 いたものですが、昭和24年漁業法の共同漁業権の免許を受けなかったため、明治
 漁業法下で形成された慣習が昭和24年以後もずっと続いているものです。慣習は
 、それが始まったときにはまだ「慣習上の利益」に過ぎませんが、継続するにつ
 れて成熟し、「慣習上の権利」になります。「慣習上の権利」は、所有権と同じ
 ような効力を持つ強力な権利とされています。地先水面専用漁業権の免許を受け
 た明治41年以後、昭和24年まで41年間もありますから、その間に磯草採取の慣習
 は、十二分に「慣習上の権利」に成熟したことになります(以上のことは、争い
 の余地のないことです)。
  しかし、大分県及び裁判所(仮処分決定)は、磯草の権利は、「慣習上の権利」
 でなく、「潮干狩り程度の利益」に過ぎないというのです。昭和24年までに十二
 分に「慣習上の権利」に成熟していた磯草の権利が、いまは「潮干狩り程度の利
 益」になったというには、その後、磯草採取の慣習がなくなったことを証明しな
 ければならないはずです。磯草採取の慣習が現在に至るまでずっと続いてきたこ
 とは、あまりにも明白なことなのに、よくそんな主張ができるものです。