同社は先月28日、耐震設計の基準を加速度600ガルとしている浜岡原発に
ついて、1000ガルまで引き上げ、東海地震の2〜3倍の揺れにも耐えられるよう補強すると
発表した。これを受け、同分科会委員の石橋克彦・神戸大教授(地震学)は
「1000ガルを目標とした根拠の説明を受けることは、指針見直しに有益だ」
として分科会で同社が説明する時間を設けるよう、原子力安全委員会の事務局に要請。
事務局が同社東京支社に打診した。

 これに対し、中部電力は「地域の信頼に応えて中長期的な発電所の安全運転を図ることが
重要であると認識しており、早期に補強に着手することが経営上得策であると判断し、公表した。
このような一事業者の経営判断で、分科会の場で説明するような技術的内容はなく、
ふさわしいものとは考えられない。ただし、分科会の場とは別に分科会の委員から個別に要望があれば、
説明にうかがう」と文書で回答。
毎日新聞の取材にも、同様の回答を寄せた。

 この対応について、石橋教授は「技術的根拠がないのなら、なぜ公表したのか疑問だ。
発表内容を見た人は技術的裏付けがあると思うはずで、きちんと説明してほしい」と話す。
また、分科会の主査代理で、地震予知連絡会会長の大竹政和・東北大名誉教授も
「分科会の議論と密接に関係があり、十分に勉強して理解しておくべきこと。どういう工事をすれば1000ガルに耐えるのかなど、
技術的なことを聞きたい」と話している。【鯨岡秀紀、中村牧生】