>>935
日本による駆け込み大量捕鯨はマッコウで顕著。母船式が規制されそうになったら基地式
を新規開業してまでやろうとした。
ちなみにマッコウは鯨油目的鯨種です。「日本の捕鯨は鯨肉目的で鯨油目的の諸外国の
捕鯨とは異なる」という説があるんだけど、じゃあなんでマッコウにそこまで熱中したのかの
説明がつかないです。日本沿岸におけるマッコウ捕鯨も鯨油目的でした。
日本は、鯨肉も食わないではなかった。しかし南氷洋捕鯨に関しては、戦後直後を除き基
本的に鯨油目的であり、鯨肉は副産物にすぎなかった(鯨肉、安かったでしょ。なんでかと
いうと、鯨油だけで採算が取れたからなんです)。

それから、欧米の捕鯨なんだけど、大昔まで遡ると、鯨肉食ってたんですね。ところが、沿
岸捕鯨から沖合い捕鯨、遠洋捕鯨にいくにつれ、冷蔵設備がない時代には鯨肉を持ち帰
れなくなった。そこで鯨油のみが残ったという図式。ここまではアメリカ式捕鯨(帆船と手漕
ぎキャッチャーによる捕鯨)。
日本の捕鯨が、沿岸から沖合い・遠洋へと展開した時代には、もう冷蔵冷凍設備があった
から、鯨肉を持ち帰ることができるようになった。そこには確かに違いがある。
だけど、沿岸から沖合い・遠洋へと進むにつれて発生する問題というのがある。沿岸漁業
では根こそぎ漁業ってのは成り立たないんで抑制がきく。しかし沖合い・遠洋だと漁場を変
えれば問題を先送りできるから、いけるところまでいっちゃえになりがちなんです。
そして、日本の沖合い捕鯨・遠洋捕鯨は、みごとにその轍を踏んでしまった(捕鯨に限らず、
日本の水産業界は、それを続けている。最近は大手水産業者が貿易商社化することで、
多少図式がわかりづらくなってはいるが)。

根本的な問題は、「沖合い・遠洋漁業において、抑制がきかないという問題点を、全然クリ
アする気がなさそうであるところ」なんじゃないかと、おれは思ってます。
この論点の前に、沿岸捕鯨(や沿岸漁業)時代の文化を持ち出してきても、あまり説得力
はないんとちゃうかなぁ。