<電力自由化>部門間の情報遮断、会計分離を義務化
経済産業省・資源エネルギー庁は21日、04年度から段階的に
実施する予定の電力小売りの全面自由化に伴い、全国の送電・配
電網を独占的に保有する10社の電力会社に対し、送配電部門が
知り得た新規参入事業者の情報を発電・販売部門に漏らすことを
禁じる「情報遮断」や、送配電部門の利益を他部門に移すことを
禁じる「会計分離」などを義務付ける方針を明らかにした。次期
通常国会に提出する電気事業法改正案に罰則付きで禁止行為を盛
り込む。
電力会社の部門間の情報遮断や会計分離は、自由化範囲の拡大に
伴い、送配電部門が市場参加者全体が公平に接続できる「公共イ
ンフラ」的な性格を帯びることに伴って、電力会社が情報の不正
利用や内部での相互補助を通じ、競争妨害や不当廉売などを行わ
ないようにするための措置。同日開いた総合資源エネルギー調査
会(経産相の諮問機関)の作業部会で具体策が示された。
送配電部門の公平・透明性を確保するため資源エネルギー庁では
当初、電力会社の送配電部門を他部門から分離独立させる「発送
電分離」の実現を視野に入れていた。しかし、電力会社側は「電
力の安定供給に支障をきたす」と一貫して強く抵抗したため、厳
しい行為規制をかけることで最終的に妥協が成立した。
会計分離の実施に伴い、電力会社には送配電部門の収支計算書の
公表を義務付け、請求書や領収書に送電網利用料相当分を明示す
ることも求める。