http://www.yomiuri.co.jp/04/20020316i406.htm
政府が対「原発テロ」強化へ、IAEA勧告に対応

 原子力施設に対するテロの脅威に対応するため政府は、防護体制
を約15年ぶりに見直し、大幅に強化する方針を固めた。原子力委員
会で年内にも指針作りに乗り出し、全国の原子力発電所や核燃料工
場などの改善を図る。

 国際原子力機関(IAEA)が対策の目安となる勧告を出したが、日本
はその最新版に対応せずにいた。「厳し過ぎる」との慎重論があった
ためだが、米同時テロ後、国際的に脅威が高まったとして勧告への対
応を軸に方針を大きく変更することになった。

 IAEA勧告は1999年公表の「核物質防護ガイドライン改定4版」。
「どんな脅威に備える必要があるか」を国の責任で評価、それに基づ
き施設の設計段階から事業者が防護策を検討する方式を示している。

 「設計基礎脅威」という考え方で、どんなテロ攻撃が考えられ、どんな
防護構造があるか、などを評価する。たとえばテロリストが原子炉に
侵入するのにどれだけ時間がかかるような構造にするかを国が定める。

 テロ対策関連の情報保護も重視、これを漏らした従業員への罰則
規定などを求めている。

 欧米主要国は勧告に対応。日本は「諜報(ちょうほう)機関があり、
軍も警備に出る国々とは事情が違う」(経済産業省)などと及び腰だっ
た。航空機でのテロ攻撃に備えて米仏では対策を強化したが、日本は
依然、自家用機の原発上空の飛行を「通達で自粛要請している」(国
土交通省)だけ。

 これに対し政府内からも批判が上がり、方針転換の機運が高まっ
た。ただ、勧告の全面的な実現には、国による管理強化が必要。どこ
まで実行できるかが今後の焦点となる。

(3月16日14:36)