【メキシコ市29日吉田弘之】ペルー南部の鉱山の町トケパラで29日、銅山を占拠した南部陸軍指揮官はフジモリ大統領の即時辞任を求める声明を出した後、約50人の兵士とともに北東部のボリビア国境の陸軍駐屯地に向かった。リマの陸軍司令部は「重大な軍紀違反」として鎮圧を指令、ヘリ部隊などが行方を追っている。

 フジモリ大統領が9月に退任を表明して以来、小規模とはいえ軍部が反フジモリ行動を起こしたのは初めてで、ペルー政界は連鎖反応を懸念している。

 陸軍司令部の発表によると、反乱を起こした将校は南部ロクンバ地区の対空砲兵部隊の指揮官。2人の将校、49人の兵士、3人の民間人が反乱に参加し、ロクンバからトケパラに行き、銅山施設を占拠した。死傷者などは出ていないという。

 地元からの報道によると、反乱軍はトケパラで食糧や燃料を補給し、数台のトラックでボリビア国境のアンデス山脈チチカカ湖付近の陸軍駐屯地を目指している。所属するロクンバの陸軍将校や銅山労働者ら計4人を人質に取っているという。

 反乱軍の指揮将校は29日、メディアなどに送付した声明で「軍が正統な命令系統を確立し、人民によって真に選ばれた大統領が出た時にだけ投降する」と述べ、フジモリ大統領と軍部首脳の即時辞任を要求した。この将校はモンテシノス前国家情報局顧問に反発するグループで、軍内部の人事の不公正などに怒り、徹底した軍部の改革を求めて蜂起した模様だ。

 陸軍などによると、各地の駐屯地で追随する動きはないが、軍部のモンテシノス派も28日のフジモリ大統領の3軍司令官解任に不満を持っており、軍全体が不安定化する可能性も指摘されている。


[毎日新聞10月30日] ( 2000-10-30-12:51 )