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 ,―-y'"'~"~"~゙´  |  塩入り麦茶、うまー。
 ヽ  :::::::::::::::::::::  ;:  
 ミ::::::::´-――- `::::ミ
 ゙,:::::::::づ氷麦茶と::::ミ >272をさらにしょっぱくしてみるもさね。
彡.: : :::::::::::::::::::::::: : :ミ  航空無線に興味ある人にとってさえ誰得な内容もさ。
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昭和16年の夏、陸軍航空通信学校の人々は頭を抱えていた。
彼らがメーカーに要求仕様を出して開発させ、徹底的な試験を行って制式採用した戦闘機用無線機はまず97式戦闘機の標準装備となり、
工場からの引渡しテストにはほとんど全ての機体が一発合格していた。

しかし、部隊で運用を開始してほどなく、雑音が激しくなり使用不能と言う苦情が立て続けに寄せられるようになった。
航通校からも無線のメーカーからも現地調査に赴く。
すると、航通校が数年前に制定して飛行機のメーカーに通知した「エンジンや電気系からの雑音電波輻射量基準」を越えている機体
ばかりだと判明した。

さっそく機体メーカーに指導してみると……機体とエンジンの工場出荷時にはちゃんと航通校が決めた規定に余裕を持って合格しているとわかった。

取って返して部隊の整備体制と、出来る限りの機体を調査してみる。
すると、各種ケーブルのシールド線(銅の平編線)端子に油と埃が侵入したり、振動で緩んだりして機能しなくなっていると判った。
「部隊は整備に際してシールド線の端子を清浄に保ち、確実に締め付けすること」と結論したのが昭和15年春のことである。

油漏れが激しい当時の日本製飛行機において、この新しい指示を守ろうとすると部隊は大きな作業工数を毎日費やすことになる。
そんなわけでこの指示は航空本部長名での正式通達には出来ず、各部隊での努力目標にすることしか出来なかった。

そして、この指示が戦闘機戦隊に行き渡り実施されると共に、現場の戦闘機乗りたちは航通校に対して決定的な不信を抱くことになった。