> 皮肉なことに、作戦計画を練っていた段階で、師団司令部の誰かが、これは正義の戦いだから、
>ノルマンディー上陸作戦になぞらえて上陸地点の名称を決めよう、と言いだした。
> 高(存容)大佐(第一海兵師団第七連隊長)は、真っ先に「ではオマハ・ビーチは俺が貰う」と右手を挙げたのだった。

>「どうする? ユタ・ビーチまで引き上げるか?」と艦長が尋ねた。
>「ライバル連隊の後塵を拝せと? 冗談じゃない! … ユタ・ビーチが無抵抗だったと言うことは …」
「そりゃ無理だ。ゴールドビーチもこてんぱんに叩かれた。そのゴールド・ビーチと、ここオマハ・ビーチは、直線距離でせいぜい八キロから九キロしか離れていない。
敵が使っている地対艦ミサイルは、恐らく、対戦車対舟艇ミサイルという奴だ。日本独自のミサイルで、射程八○○○メートルにも達する。
だとすると、この道路上のどこか一箇所発射基地を設けるだけで、このオマハからゴールドまでをカバーすることが可能となる。実際には、発射基地は最低二箇所あったことはすでに判明している。自殺行為だよ。」

>三根湾からの上陸作戦を退けることには、成功したが、北部の二箇所(佐須奈湾、仁田湾)では、ほとんど無傷での上陸を許していた。