軍事評論家 江畑 謙介
 お母様の心配はもっともであり、さぞかしご心痛のことと察せられます。
ひとつ息子さんに確認していただきたいのですが、息子さん自身、もしくは
親しい友人などが直接に装軌兵器や予算の関係者と、これまでに何らか
のトラブルがあったのでしょうか。例えばけんかをふっかけられたとか、予
算を減らされたとか。そうであれば話はわかりやすいのですが、息子さんが
装軌のことを悪く言っているのは単にそれらを批判しやすいからに過ぎない
のであって、とりたてて装軌兵器それ自体とはなんら関係がないでしょう。

 むしろ息子さんが荒れている原因は何か別のことでストレスを感じている
からだと思われます。農政が上手く行っていないという問題も考えられます
が、最も一般的なケースは、総裁選に推してくれる友達が出来にくいという
人間関係のつまづきです。おっしゃっているような「このような狭い了見では、
とても人様とは上手くやっていけないだろう」ではなく、「人様と上手くやって
いけないから、このような狭い了見になる」のです。順序が逆です。

 ただ政界内での人間関係といっても複雑です。単純に友達がいないのか、
それとも親しい友達がいたけれども何かの際にうまくいかなくなったのか、あ
るいは資金問題なのか。そのあたりはきわめてプライベートな問題で、聞い
ても正直に答えてくれないのが普通です。派閥の重鎮に聞いてもわからない
と言われます。多くの場合、息子さんが一人で悩んで一人で解決していくの
を、周りの大人達はただ遠巻きに見守るしかありません。

 これでは相談の回答にならないので私なりに提言できることを申し上げま
すと、「お母さんはそのことを心配しているのよ」というシグナルを送ってあげ
ることで息子さんの気持ちはずいぶんと楽になると思います。答えてくれなく
ても、友達のことを聞いてあげてください。息子さんがお母さんのシグナルを
受け止めた時、趣味丸出しで装備に口を出すことなどはどうでもよくなると思
います。