まあ、石原ほど、小沢の本性を知っている奴はいないだろう。
そのせいで、蛇蝎のごとく嫌っている。

アメリカの忠実な犬だった小沢と金丸。 
 八十年代末から、アメリカは日米構造協議でも日本に圧力をかけ続けていました。
国際貿易の問題はGATT(関税および貿易に関する一般協定。WTOの前身)に任せれば
いいものを、二国間の協議に持ち込んで、非常に理不尽な二百数十項目の要求を突きつ
けてきたのです。

 私は反撥して勉強会を開き、百五十項目ぐらいのカウンタープロポーザルを作った。この時は、
この間落選した小林興起がいい知恵を出してくれた。
 党の総務会に持ち出そうとしたところ、当時の幹事長だった小沢氏が、会期末にもかかわらず、
三回も総務会を流して これを葬ったのです。

 日米構造協議の過程で、小沢氏と 金丸氏 の裁断で、内需拡大を名目に 八年間で
四百三十兆円 という途方もない金額を公共事業に突っ込むことを米国に約束してしまったのです。
 その挙句、バブル崩壊で日本経済が疲弊していく中、夜は鹿か熊しか通らないような北海道の
荒野を走るハイウェーが何本もできて、今日の巨額の財政赤字となった。

 しかもその影響はいまだに生きていて、アメリカは毎年、日本に年次改革要望書なるものを送っ
てきている。アメリカの弁護士が参加して、日本の法律をこう変えろといったことをアメリカの
都合で押しつけてきているのに、不満の声をあげる議員は今では一人もいない。要望書の中には、
簡保の自由化を求める項目もあるといいますから、郵政民営化もよほど心してかからないと、
ただ外資に名をなさしめて終わりということになりかねない。
(小泉総理、郵政よりも憲法だ  石原慎太郎   文芸春秋06/11月号) 」