東条英機と嶋田繁太郎

親交の深かった二人は常に赤坂の料亭でもう一つの「大本営」を営んでいた。
嶋田の海軍内部での評判はすこぶる悪かった。
嶋田は海軍の作戦やら戦闘経過、作戦能力などペラペラと東条に話すもの
だから、永野・山本らには目の上のタンコブとでも言うべき存在だった。
ミッドウエー攻略の頓挫について「ミッドウエーの攻略はどうなったかね?」
と問う東条に嶋田は「ああ、山本君もヘタ打ったものだねェ」と答える。
東条は微笑みを噛み締めるように「海軍はアメリカに負けちゃえば良いのだがなぁ」
嶋田は「おいおい、東条君。それは言いすぎだよ」と語った。
二人だけの「大本営」は終戦まで続けられた。