「日野不倫殺人事件」北村有紀恵・無期懲役受刑者をめぐる24年目の新展開
篠田博之 | 月刊『創』編集長 7/7(金) 19:12

さて、24年も前のその事件のことを今回持ち出したのはほかでもない。
この半年ほど、彼女の知人の間で、彼女の仮釈放を何とか実現できないかと
いう話が出ているからだ。(中略)。日弁連としても2010年12月に
「無期刑受刑者に対する仮釈放の改善を求める意見書」をまとめ、無期懲役
をめぐる現状を改革する取り組みを行っていた。古畑弁護士もその推進役の一人だ。
(中略)

父親が自宅で経営していた製版所は、その後、閉鎖することになった。
娘2人の結婚資金としてためていた財産は、裁判費用や被害者遺族など
への補償にあてられた。火災にあった団地住民へもお詫びと金銭的補償
が行われた。
刑事裁判と別に被害者遺族から民事訴訟も起こされ、1000万円以上を
既に納めているのだが、まだ賠償金は3000万円以上残ったままだ。
私財を全て投げうっても、十分な補償はできなかった。家計も破たんし、
両親はその後の半生を償いのために費やすことになった。(中略)

父親の嘉一郎さんがそう語る。朝晩のお寺や地蔵参りはもう20年
以上欠かさず続けているという。
有紀恵さん本人も、キリスト教に入信して祈りを行っているほか、
1カ月1000円ほどしかもらえない作業報奨金から年に1万円ほどを、
高田夫妻の代理人弁護士を通じて送っている。(中略)

そんなふうに服役期間が長くなった結果、仮釈放されても受け皿がない、
つまり家族や知人が亡くなってしまうという問題が深刻になりつつあるという。
北村有紀恵さんもまさにそのケースだ。最高裁まで争ったこともあって、
確定までに7年半を費やし、現在はもう事件から24年。ただ確定から
まだ16年だから、平均30年という基準から考えると、あとまだ14年も
ある。既に80代半ばの両親がそれまで健在でいることは困難だろう。
本人だってそれまで刑務所で健康でいられる保証はない。

https://news.yahoo.co.jp/byline/shinodahiroyuki/20170707-00073039/

有紀恵さんは刑務所で昨年9月に2種2類という区分に昇格した。
刑務所というのは受刑者を等級制度のもとに置き、更生が進めば等級が上がり自由度が増すというシステムだ。
2種2類になると、親との接見も優遇されるし、月に一度、刑務所から家族に電話をすることが許される。
その30分間の電話を家族は毎月楽しみにしている。
面会の制限も緩和され、月に何度も刑務所を訪れることが可能になった。