彼女の手帳には、もう一人東電の常務の名前も出ていたといわれている。
その常務にも東電の社内で会った。常務は予想通り、彼女とは一面識もありません、
まったく知りません、思いあたるフシはゼロです、天地神明に誓って知りません、
の一点張りだった。しかし私は、唇をふるわせながら早口で否定する口調に、却って何かを知っている印象を受けた。
(P56から57)