テレビ画面に惨劇が映し出されてから3年9カ月。豊田商事の永野一男会長の刺殺事件で8日、大阪高裁でも有罪とされた飯田篤郎、矢野正計両被告は、公判を重ねるにつれ相手に罪をなすりつける発言を繰り返し、相互に不信感をつのらせてきた。
1審が始まったころは、互いにかばい合ってきたものの、控訴審では対立がエスカレート。
「マスコミにあおられたピエロ矢野のハプニング犯行」とする飯田被告と、「飯田に事件に巻き込まれた。(飯田は)死刑にしてくれ」という矢野被告が、法廷で敵意をむき出しにする場面もあった。

飯田被告は、控訴審の公判が開かれるたび、100枚前後の便せんにびっしり裁判に対する疑問点や不満を記し、裁判所あてに上申書を出し続けてきた。
大阪拘置所で、精力的に裁判制度の専門書や新聞を読む毎日。上申書でも、貝塚ビニールハウス殺人事件など近年の無罪判決裁判に触れ、検察、警察だけでなく、裁判制度に対して不信感を強めているという。
弁護人から、裁判が済むまで雑誌などへの投書はやめるようクギをさされていたが、知人やマスコミ関係者に精力的に手紙を書き、新右翼の機関紙に投稿するなど、裁判への不満をあちこちにぶつけている。

一方、矢野被告は、病に伏せている父親や、別れた妻子の近況を気にする日々だ。「娘が肩身の狭い思いをしているのが耐えられない。
無罪になって、晴れて娘に会いたい」と弁護人にこぼし続けた、という。